昨年開催された第21回サンライズイワタ2013IN竜洋トライアスロン大会の参加者1名が大会12日後にレプトスピラ症を発症しました。レプトスピラ症は淡水曝露がリスク因子である為、当大会でスイムコースとして使用したカヌー練習池が感染の原因のひとつとして考えられました。しかし、従来一般的には日本国内開催のトライアスロンのスイムパートが感染リスクと考えられたことはほとんどなかったと思われます。レプトスピラ症の説明と対応策は下記の通りです。 【レプトスピラ症とは】
ワイル病、秋やみなどとも呼ばれ、レプトスピラという病原体の感染に起因する人獣共通感染症です。病原体は中性から弱アルカリ性の淡水中、湿った土壌に存在し、自然宿主(ネズミなどの野生動物)の腎臓に保菌され尿中に排出され汚染された土壌から径皮、経口で感染します。人から人への感染は起こらないとされています。国内では衛生環境の改善により患者数は著しく減少しています。海外では中南米、東南アジア(熱帯、亜熱帯)での大流行が報告されており、米国でのトライアスロン大会での集団発生も報告されたこともあるようです。災害に伴う発生も報告されており、近年のフィリピンでは台風による集中豪雨の洪水により被災地で集団発生しました。症状は急性熱性疾患でありインフルエンザと似た症状が現れる。無治療で改善する症例から死亡する重症例まで多彩な症状を示します。凡そ5日~14日の潜伏期間を経て発熱、悪寒、頭痛、筋痛、腹痛、結膜充血にて発症します。一見すると風邪との区別は困難で国内発症もまれな為、診断は難しい事もあります。治療薬は存在しドキシサイクリンもしくはペニシリン系の抗菌薬が用いられます。 *サンライズイワタIN竜洋大会の状況
昨年の第21回大会は1週間前(9月15、16日)の台風18号の集中豪雨で天竜川が増水し、泥水が水門からカヌー練習池に入り、1週間後の大会当日も泥水の水質が改善されなかった。過去の1回~20回の間では今回の事例のような状況は無く、昨年の洪水による水質の悪化がレプトスピラ症の感染リスクを高めたのではないかと推測します。 *サンライズイワタIN竜洋大会の対応策 ・浜松医療センター及び感染症内科による支援協力 ・参加承認選手へのレプトスピラ症発生の事実と対策を知らせ、参加判断を選手に委ねる ・開会式での医師によるレプトスピラ症の説明と対策の講話による選手への周知 ・健康調査はがきの選手への配布と記入返送の依頼 ・スイムコースの水質が悪化した場合はスイムを中止する *なお、発症した参加者は医療機関の適切な治療により治癒し普通の生活に戻っています。 以上の対策で安全な大会の運営に努めていきます。 平成26年8月1日
サンライズイワタIN竜洋トライアスロン大会 実行委員長 袴田真吉
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